屋根の寿命を考えて

雨が続く日は、信号待ちでも屋根のことを色々考えてしまう職業病です。

 

・軒を出す?出さない?

・材質は瓦?それもイブシ瓦?陶器瓦? あるいはガルバリム鋼板?

・勾配はどうする? 勾配があまり緩いと台風の時に雨が入るぞ。

・切妻なの?寄棟なの?棟は東西方向?南北方向?

・最初は、フラットルーフにしがちだよね、ウンウン分かる。

 

とか。

 

最近勝手に心配しているのは、「太陽光発電パネルの下の薄型化粧スレートの再塗装は、どうするつもりなのだろう問題」!

塗料の撥水性能だけが生命線で、スレート自体は水を吸うのでメンテナンスは欠かせないはず。

 

 個人的に、費用を考えずに総合的に考えてどれが好き?と聞かれたら、「イブシ瓦」ですかね、と多分答えます。初期費用は高いですが、メンテナンスの費用を考えると、割れない限りノーメンテでコスパが一番良いかもしれません。 

 

 イブシ瓦とは・・・引用>>「いぶし瓦は釉薬を使わず、焼成したあとに空気を完全に遮断、「むし焼き」にする燻化工程が特徴です。このときLPGなどで素地表面に銀色の炭素膜を形成させます。

釉薬を用いず、素焼きにしたり、金属酸化物を原料に練り込んだり、窯内の雰囲気を酸化、還元などコントロールすることで独特の窯変色を出す瓦は、いぶし瓦と同じ無釉系でも燻化工程がなく、無釉瓦として区別します。」<<引用終わり

(出典 愛知県陶器瓦工業組合公式サイトより)

 

どちらかといえば和風が好きな私には、魅力的な素材です。

 

 実務家である私としては、新築のときだけでなく、長く住んでいただく際のメンテナンスまで考えると、ほぼメンテナンスフリーな素材である瓦という素材はオススメしたい素材です。 ただ、ガルバリウム鋼板(略称:ガルバ)とは初期費用が当然違いますので、10年後に塗り替え費がかかるとしてもガルバで初期を安く済ませるのか、あるいはその逆で高くても初期で瓦に費用をかけるのか、このあたりは建主の方の判断にもよります。

 

 また、勾配についても好みが分かれるところです。 特に流れ方向に長い建物でズンズン登っていくと、平屋のつもりでも2階建てのように巨大化していく傾向があります。 実際に住宅地を通るとそんな家がたくさんあり、胸が締め付けられる思いです。 平面図と同時に立面図を検討していなかったのだろうと思います。 3から3.5寸勾配(材質により4寸)くらいが威圧感がなく、個人的には好みです。

 

 街並みにそっと溶け込む家を設計したい私としては、「街並みに優しい」デザインという言葉をよく使います。 切り立った屋根が突っ張っている形よりもそっと寄り添う地味だけど上質な存在感を目指しています。

 

 自分の家が、外から見て突っ張ってませんか? そんな観点で街を眺めるのも良いでしょう。