幸い、修行させていただいた設計事務所が上質な建物を設計していたために引手・建具金物全般への意識は自然に植え付けらました。
一般住宅では、ドアノブや引手の選択ができることはほとんどなく、良くても「ゴールド」「シルバー」の2択。 しかしながら寺社建築や和風建築を巡り歩く方は、世の中には引手のバリエーションが無限にあることにお気づきでしょう。 私も興味が高じてあちこちで珍しい引手を見つけては、写真を撮りまくる職業病に侵されています。 趣味で古い建具金物のデッドストックも集めています。 これは職業病です。
空間の質を決める最後は、建具金物というのは、設計業界では割と知られる話で、料理に例えれば上質なスパイスでピリッと引き締めたいところ。
建具一体でタモ材から削り出してもらうこともありますし、写真のように既製品を使用することもあります。 ただ、「和風のこんな引手を今度の設計に使ってみよう」と思っても、すでに廃版だったり、欠品だったり、で見つけることが困難になりつつあります。 やはり昭和の建具金物は手が込んでいて、上質なものが世の中に秘かに眠っていて、お宝探しも楽しみの一つです。
薄い金属板からガシャンとプレス機で作られたり、塗装で塗られたものとは違い、金属の厚みや木の手触りは、不思議なことに人間は見分けられます。
毎日視界に入り、1日に何度も触れる場所に費用を割いてみる、そんなこだわりも当事務所では対応可能です。